【フルレストア】SME3012R

SME3012Rフルレストア前

ここ最近、SMEのトーンアームに関するお問合せが増えておりますが、現在、SMEは正規代理店だったゼファンとの契約が昨年終了してから国内代理店がないため、製品の購入や修理が出来なくなったことが影響しているようです。

先日、商社に確認したところ、今後SME社はトーンアーム単体の販売は行わない方針で、自社ブランドのプレーヤーシステムに搭載するセットアップ販売のみになることや、次の代理店も決まらないようでした。このような状況で部品の取り寄せもできないことから、修理とレストアのご相談が増えたのではないかと思います。

基本的に弊社は国内代理店でアフター可能な製品はメーカーに出しますが、シュリロ貿易やハーマン時代に輸入されていたS1、S2、S2improved、S3、Rシリーズ等、現在はサポート対象外の製品は内製で修理してます。また、一部の新品パーツも英国内のディーラーから調達できるため、水没や火災などのダメージがない限りは殆ど修理可能です。

本日はSME3012Rの修理と併せてフルレストアのご依頼がありましたのでご紹介いたします。

SME3012Rフルレストア作業中~全分解・洗浄・研磨前

今回お預りした個体は、外装は比較的きれいですが、長期間使用されずに保管されていたようで、細部を診断していくと劣化や調整箇所がいくつか見つかりました。トーンアームに限らず機械製品は、日常的に使われていた個体より、使わずに保管されていた個体の方が劣化しているものが多いので、中古品を購入する際は見た目だけで判断しないことをお勧めします。

アームは専用工具で慎重に全分解してから、洗浄や研磨作業を行い、1点1点のパーツ毎に不具合箇所を診断していきます。

SME3012Rフルレストア作業中~ベアリング&シャフト洗浄・研磨・感度調整

トーンアームの心臓部ともいえるベアリング部は、経年劣化や錆、不用な注油による固着の有無を確認し適切な処置を行います。また水平方向はスムーズに動作するよう、慎重に感度調整を行います。特にOリング型ベアリングはパフォーマンスに影響するので、絶対に注油してはいけません。

また、アームリフターは充填しているグリスが抜けている個体も多く、降下速度が速い場合は分解してグリスを注入して調整する必要があります。

SME3012Rフルレストア作業中~ヘッドシェルコネクタ部分解・洗浄・研磨完了、配線交換前

ヘッドシェルコネクタ部は内部配線のビニール被膜が経年劣化で硬化し、シェルの取付もスムーズにいかない状態でしたので、分解してアジェスター内部の洗浄・研磨、配線交換を行います。

SME3012Rフルレストア作業中~ヘッドシェルコネクタ部・配線交換後

配線は半田付け時の熱で樹脂を溶かすため、殆どの業者はコネクタ自体をアッセンブル交換しますが、弊社では極力オリジナルのパーツをレストアして使います。

特にS1、S2極初期~初期型はアームパイプ先端にネジ止め穴がなく、接点ピンと樹脂の材質の違いからか、RやM2-9R世代のコネクタを使うと僅かに音が変わるので、やむを得ない場合はご相談してから交換致します。

特に多い交換理由として、コネクタ部のピンが戻らなくなり音が出ない時に、接点復活剤を使う方がおりますが、ピンを固定している樹脂部分が変質や破損する原因になり、修理不可で交換する羽目(修理代が高額)になりますのでご注意下さい。

SME3012Rフルレストア作業中~アームパイプ内アースポイント研磨・配線交換後

SMEのレストアで意外と見落としがちなのがアースの処理です。アームパイプとアースポイント及びアース線に接触不良や断線があると静粛性が低下し、最悪ハムが出る原因になります。また、内部配線のビニール被膜が経年劣化で硬化していると、アームパイプとベアリングシャフトのピラー部にテンションが掛かり干渉するため、必ず動作チェック致します。

ちなみに、3009/3012Rのナイフエッジ(支点)は樹脂製ですが、S2やサードパーティが出している金属製に交換するのはアーム全体の感度バランスが崩れるのでお勧め致しません。

また、アームパイプ内部はバルサ材が挿入されています。S2は入っている個体と無いものが混在してますがRは全て挿入されています。これも抜いてしまうとアーム全体の共振点が変わり、音がまとまらなくなる原因になります。

一部の修理業者はバルサ材が邪魔でアームパイプ内部に配線を通すことが出来ず、抜いてしまってるケースもあるのでご注意下さい。

SME3012Rフルレストア作業中~RCA端子部・研磨&配線交換後

ヘッドシェルコネクタからの配線はアームパイプ内部を通してフォノケーブル端子に接続します。ここも確実に導通するよう丁寧に仕上げます。

SME3012Rアームベース部グルメット~左:使用済、右:新品

SMEのスライドベース(アームベース)をネジ止めする際は、好みでゴム製グルメット(クッション)を装着して使いますが、経年劣化やネジの締めすぎで潰れているものは交換致します。アームボードにアームを取り付ける際は、スライドベースが軽く浮くようグルメットが潰れない程度にネジを締めて下さい。

SME3012Rフルレストア完了001

組み立て完了後、各部の動作と導通をテストして完成します。

SME3012Rフルレストア完了002

今回のフルレストアも綺麗に仕上がりましたが、SMEトーンアームは故障箇所のみの修理で、同一箇所の不具合が発生した場合は3か月保証、純正フォノケーブルを含むフルレストアを行った場合は1年保証となり無償修理で対応致します。

またトーンアーム本体以外にも旧4ピンプラグ仕様のSME純正フォノケーブルの修理や、新規制作もご希望の長さで出来ますのでお気軽にご相談下さい。

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