LINN LP12旧Basic電源仕様のMoseアップグレード

本日は79年に製造されたLINN LP12(S/N23000番代)の外部式電源Moseアップグレードと併せて、 不具合箇所の修理と手直しを行いました。 旧Basic電源仕様は、メーカーでは修理不可で現行のMajikまたはLingo Mk4への入れ替えを勧められますが、モーター故障は交換となるものの殆ど修理可能です。

今回はオークションでご購入された個体で、正直なところ外装の状態が良くなかったことや、電源ON後、起動はするものの、立ち上がりが遅く、規定回転数より結構遅かったり、水平・垂直バランスが取れないので診断した結果、ご申告内容以外にも不具合が見つかり、お客様と相談の上、対応することに致しました。

また、修理時に33/45回転対応やアーム変更、外装のお直しなどのご要望も多いのですが、今回はACモーター仕様のMoseを組んだことから、電源部のモーター、スイッチ、電源ユニットも総入れ替え致しました。

動作確認動画
修理前~サスペンションを固定するゴム製グルメットが破断し、水平・垂直共にバランスが取れない状態
修理前~内部
台座(プリンス)も日焼けや汚れ、当て傷などでくたびれてますが、歪みや変形がないだけ幸いでした。塗装面を全剥離後、研磨・傷取・オリジナル同様に樹脂塗料で仕上げます。
不具合箇所が多数見つかり、アップグレードのついでに全分解・特殊研磨後にメンテナンス致しました。
Moseは電源側で50/60Hzを自動識別して33/45回転に対応しますが、ACモーターが50hz用でない場合、交換が必要です。
純正ACモーター
全分解・全パーツ脱脂洗浄・研磨後
修理&Moseアップグレード後
セットアップ後、ほぼ使用感が無い状態にまで仕上げました。※フォトショップなど加工は一切してません。
スピンドル軸受けは内部に異物混入や酸化物質、古いオイルなどの固着している個体も多いので、分解時に内部洗浄と垂直軸に対してのがたつきがないか必ず確認する必要があります。

純正50hzモーター装着、プーリー横にある傾き調整ねじ2本をベルトの走行位置が適切になるよう調整します。
台座とアウタープラッターは塗装面の全剥離後、研磨とオリジナルと同じ樹脂塗装を行い可能な限りレストアしました。
サスペンションのグルメット交換と水平・垂直調整を行い、ようやく総合調整に入れます。

ちなみにMose、モバーDCなど外部式アップグレード電源につきましては、メーカーのショールーム移転に伴う一時業務停止と、コロナによるEU各国の物流と部品調達に支障が生じているため、次回入荷は4月上旬以降となります。また、当面の間はご予約順に優先販売となりますので、納期を頂く場合が御座いますのであしからずご了承下さい。

修理、アップグレード、アーム変更、内外装のお直し、他店で修理を断られた個体など、 何か御座いましたらまずはご相談下さい。

※コロナ対策および修理・通販のみの営業となるため、対面受付は行っておりません。

●Ultra Groove(合同会社アンセムインターナショナル)
〒106-0032 東京都港区六本木7-11-18
E-Mail:info@ultragroove.jp
公式サイト:https://ultragroove.jp/
古物商許可 東京都公安委員会:第306691507096

LINN LP12用アップグレード電源 MOSE(モース)

LINN LP12は内蔵電源のMajikやBasic、Valhall、外部電源でAC電源のLINGO、DC電源のRADIKAL、他にも高性能なサードパーティなど、日本では知られていない製品もたくさん存在しています。

それぞれ特徴がありますが、今回はその中でも費用対効果が高く、手ごろな価格で満足度も非常に高いMOSE外部電源を実際にLP12に組み込んで、アップグレードしてみました。

MOSE外部電源は33/45回転対応で、それぞれデュアル水晶発振器を搭載し、非常に高精度で安定した回転が特徴の高性能電源です。回転数の切り替えは電源スイッチの長押しで行います。

外部電源の特有の非常に高SNで静粛性に優れ、ノイズに埋もれていた繊細な音が引き出されることで音数が増える印象で、現行LINGOとの比較でも違いが分かりませんが、外部化の効果はLP12のアップグレードで一番差が出ると思います。

トーンアームはダイナミックバランス型のオルトフォンRS-212Dを合わせてみました。

MOSEの動作チェックを兼ねてLINN LP12 MOSE/ORTOFON RS-212D&SPU SynergyでSONNY CLARK TRIO(TIME S/2101)のSTEREOとMONOオリジナル盤を再生してみました。

●動作確認用ムービー
https://youtu.be/ZuhDUHPZB2g

カートリッジはステレオ盤なのでORTOFON SPU Synergy、モノラルオリジナル盤はSPU-MONO G  MK2。

ステレオ盤とモノラル盤でカートリッジを変えるのは当然ですが、ユニバーサルシェルが使えて交換しやすく、操作も簡単なオルトフォンRS-212Dは、ショートアームなのに音の重心も低くて◎です。

MOSEを使って分かったのはオルトフォンSPU等、低インピーダンスで低出力型のMCカートリッジでは歴然とした差がでるので、電源の外部化はLP12の基本だと改めて実感しました。

MOSEはACモーターを搭載したLINN LP12でS/N54000番台以降(1985年)のモデルに対応する前提ですが、古いモーターなど製造時期により45回転が起動しない場合が御座います。特にモーター底部に1.5㎝位でグレーのスラストキャップが付いているものは要注意です。

通常はモーター交換せずMOSEを組み込めますが、不安がある場合はLP12本体をお送り頂ければ弊社にて有料セットアップ致します。

製品に関してのご質問はお気軽にご相談下さい。

●Ultra Groove(合同会社アンセムインターナショナル)
〒106-0032 東京都港区六本木7-11-18
E-Mail:info@ultragroove.jp
公式サイト:https://ultragroove.jp/
古物商許可 東京都公安委員会:第306691507096

●関連情報
Mober社製品(LINN LP12用)の取扱いを始めました。
LINN LP12用DC電源システム~Mobor CPU control DC motor PSU 
LINN LP12用アップグレードHercules2(ハーキュリーズ2)